不安が希望に変わり 希望が確信に変わる
檜尾 健太

『台詞を覚えるのって大変ですね。』
『怒ったり泣いたりするのって難しくないですか?』
『カメラの前で緊張しませんか?』
日常会話の中で、俳優をされていない方々から、色んな質問を受けますが、台詞を覚えるのは、調理師の方が『レシピ』を覚える、タクシーの運転手の方が『道』を覚える、会社勤めの方が『会議で話す内容』を覚える…など、それらと似ています。
なので、誰にでもやろうと思えば、簡単に出来ます。ただ、『台詞を覚えたら演技が出来る』という思い込みはとんでもない間違いです。
俳優の諸先輩方に怒られるかもしれませんが、『台詞の言い方』『台詞をどう言うか?』なんて、一番どうでもいいです。
私はそう強く思います。
『台詞の言い方』『台詞をどう言うか?』などを考えていたら、上記の『怒ったり泣いたりするのって難しくないですか?』『緊張しませんか?』の問いに対して、『難しいです』、『緊張します』の回答を出してしまうことになります。
一平さんのアクティングメソッドを、少なくとも『3年間』しっかり取り組めば、俳優としても、人間としても、飛躍的に成長でき、最初の『3つの問い』の件もクリアになっていくと思います。
私自身、俳優として、芝居を初めて15年になります。
様々なワークショップ、色んな演技指導を受けてきました。
桐朋学園時代には、蜷川幸雄さんに指導を受け、20代の前半は勢いとやる気だけで、なんとか乗り越えてきました。
私は蜷川幸雄さんに教わったことを『分かったつもり』になって、突っ走ってきていましたが、ある時期から、自分自身が『中身のない演技』をしていることに気付き始めました。
売れている俳優さんと、現場でお仕事をさせて頂けば頂くほど、自分とその俳優さんたちとの『見えない溝』がどんどん深くなっていくのを感じました。
そんな時、一平さんのアクティングメソッドに出会い、無我夢中になって、3年間休まずに取り組みました。 『役として生きる』ことの楽しさ、『蜷川幸雄さんがおっしゃってた本当の意味』が、少しづつ分かってきました。
そして、俳優としての仕事の量、質、共に激増していきました。
皆さんがご存知である有名な俳優さんたちと現場でお会いし、お話する機会がある時に、私はその俳優さん達にお聞きします。 『今、吉田一平さんによる、このようなアクティングメソッドを受けています。それは俳優にとって必要ですか?○○さんはどう思われますか?』と。
皆さん、口を揃えておっしゃります。 『すごいことやってるね!』 『正解!続けろよ!』 『俺もやってたよ!頑張れ!』
現在では、不安が希望に変わり、希望が確信に変わりました。
この一平さんのアクティングメソッドは、私自身、どんなに多忙になろうとも続けていく決意です。
檜尾 健太 01.04.2013