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アクティングスタジオ,中原 俊/映画監督

大きな力になるのは間違いない

中原 俊

私が彼と最初に出会ったのは2003年。
プロの役者に演技訓練をしている場であった。

それまで私自身、俳優の訓練の在り方について、常に疑問と、これでいいのか?という思いがあった。

彼のレッスンを見ながら、初めて見るその訓練の方法に、方向性としての可能性を感じた。

現役の俳優であっても、ある程度の表現の技術を持ちながら、内面の技術が追いついていないケースは多い。

実は演技者にとってはそこが最も難しいところであり、ぜひ獲得しなければならないところでもある。

欧米などでは、俳優が定期的に自分自身の基本、感覚の確認、そしてそれを呼び戻すための訓練があり、訓練する場所がある。

基礎(ベース)の再確認。

基礎とは一度構築すればこれでいいというわけではない。
時間が経てば脆くなり、やがては崩れていく。
そのたびに立ち戻り検証すべき原点が必要なのである。

だから、彼の訓練は、よりよい演技を目指す現役の俳優にこそ非常に有効であり、もちろんこれから俳優を志す人たちが、その第一歩からしっかりと身につけておくべきことでもある。

彼自身もキャリアを重ね、日本人の俳優たちにさらにフィットするようこの訓練をより発展、向上させ、実践していけば、演技者と彼らを演出する立場の我々が、より深くコミュニケートできる大きな力になるのは間違いない。

中原 俊

プロフィール

中原 俊(なかはら しゅん) 1951年5月25日、鹿児島市草牟田町に生まれる。
鹿児島ラ・サールを卒業後、東京大学文学部宗教学科に進み、1976年卒業。
同年日活に入社。
1982年、日活ロマンポルノ『犯され志願』でデビュー、横浜映画祭新人監督賞受賞。
ロマンポルノ8本と児童映画1本を撮り、1985年日活を退社。
同年、烏丸せつ子主演『メイク・アップ』を撮る。
その後、橋本治原作、青春ドラマ『桃尻娘』『帰ってきた桃尻娘』等をフジテレビで撮る。
1986年、小泉今日子主演『ボクの女に手を出すな』、1987年『シャコタン・ブギ』を東映で、1988年、姉妹の生態を描いたエロティックファンタジー『猫のように』を日活で撮る。
1990年、吉田秋生原作の『櫻の園』を発表。
女子校演劇部の少女たちの姿を儚く散りゆく桜に重ねて描いた青春劇である。
創立記念日、上演までの舞台裏で起きるさまざまな出来事に少女たちの心は揺れ動く。
その危うく切ない感情を繊細に描き、キネ旬ベストワンはじめ多くの映画賞を受賞する。
1991年、三谷幸喜の戯曲『12人の優しい日本人』を映画化。
一室に集められた12人の陪審員が議論を戦わせる喜劇、2時間ノンストップのワンセット密室劇である。
戯曲の映画化という珍しい試みに挑み、文化庁優秀映画作品賞を受賞。
1995年、NHKBSで昭和30年代の子どもたちの姿を生き生きと描いたドラマ『松ヶ枝町サーガ』4部作を撮り、ギャラクシー賞を受賞。
1999年、同窓会で出会った男女の大人のメロドラマ『コキーユ~貝殻~』(第9回日本映画批評家大賞作品賞受賞)。
2002年、田口ランディ原作、市川美和子主演『コンセント』、宮崎あおい主演『富江最終章 禁断の果実』、奥田瑛二・黒沢あすか主演『でらしね』の、異色の三作品を続けて発表。
2005年、阿川佐和子原作、幼稚園児同士の友情を描いたTBSスペシャルドラマ『ウメ子』を発表。
2007年、韓国よりキム・スンウを招き、カーリングを題材としたラブコメディ『素敵な夜、ボクにください』を発表。
2008年、『落語娘』(ミムラ・津川雅彦主演)、『魔法遣いに大切なこと』(山下リオ・岡田将生主演)、『櫻の園』。

主たる監督作品

『犯され志願』:1982年。
『奴隷契約書 鞭とハイヒール』:1982年。
『聖子の太股 女湯小町』:1982年。
『宇能鴻一郎の姉妹理容室』:1983年。
『ぼくのおやじとぼく』(児童映画)1983年。
『3年目の浮気』:1983年。
『縄姉妹 奇妙な果実』:1984年。
『イヴちゃんの花びら』:1984年。
『初夜の海』:1984年。
『ボクの女に手を出すな』:1986年。脚本兼任。
『メイク・アップ』:1987年。
『シャコタン・ブギ』:1987年。
『猫のように』:1988年。
『DokiDokiヴァージンもういちどI LOVE YOU』:1990年。脚本兼任。
『櫻の園』:1990年。
『12人の優しい日本人』:1991年。
『シーズン・オフ』:1992年。
『Lie lie Lie』:1997年。
『コキーユ~貝殻~』:1999年。
『歯科医』:2000年。
『カラフル』:2000年。
『コンセント』:2002年。
『富江最終章 禁断の果実』:2002年。
『でらしね』:2002年。
『DVドメスティック・バイオレンス』:2004年。
『苺の破片』:2004年。高橋ツトムと共同で監督。
『素敵な夜、ボクにください』:2007年。

受賞歴

1982年:『犯され志願』でヨコハマ映画祭新人監督賞。
1991年:『櫻の園』
芸術選奨文部大臣新人賞映画部門。
キネマ旬報監督賞。
キネマ旬報ベストテン第1位
ヨコハマ映画祭監督賞。
毎日映画コンクール優秀作品賞。 日本アカデミー賞優秀作品賞、優秀監督賞。
1992年:『12人の優しい日本人』で文化庁優秀映画作品賞。
2002年:『コキーユ~貝殻~』で第9回日本映画批評家大賞作品賞。

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